COLUMN
健康
主な食中毒と健康被害および予防と対策について
細菌類の食中毒は6~9月に増殖しやすいので多発します。刺身・寿司は年間を通して食べるので寄生虫アニサキスは年間を通じて発生、冬季にはノロウイルス等によるウイルス性が多発します。
食中毒の分類
腸炎ビブリオ(魚介類、水温の高い海水で多く検出されるが真水弱い)
腸間出血性大腸菌(O-157など、家畜の腸管内に生息)
病原大腸菌
カンピロバクター(特に鶏肉の生、ギラン・バレー症候群との関係指摘)
ウェルシュ菌(芽胞菌、動物の腸管、下水、河川、土壌など、酸素の無い環境で増殖、酸素のある大気中で死滅)
セレウス菌(芽胞菌、穀類、香辛料、野菜、豆など)
エルシニア(感染した犬・猫との接触による口腔感染)
コレラ菌など
ボツリヌス菌
セレウス菌
ロタウイルス
二枚貝などは85~90℃で90秒以上過熱
E型肝炎ウイルス(加熱不足の豚、鹿肉、野生イノシシなど)
加熱は、75℃で1分以上、70℃で3分以上、60℃で15分以上
サルコシスティス・フェアリー(馬肉に寄生)
旋尾線虫(イカに寄生)
回虫(野菜などに寄生)
シガテラ、イシナギ、バラムツ、アブラソコムツなど(毒はマリントキシン)
食中毒の分類の中で、感染型食中毒と毒素型食中毒についてもう少し詳しく
食品中で増殖した細菌が起こす食中毒を「感染型食中毒」といいます。最近が増殖する際に産生する毒素が原因で起こる食中毒を「毒素型食中毒」といいます。
後遺症の一つにギラン・バレー症候群(※)があります。
感染型食中毒
サルモネラ属菌の潜伏期間は12~48時間、腸炎を起こし、下痢、発熱、腹痛、重症の場合は死亡する場合もあります。腸炎ビブリオの潜伏期間は6~24時間、下痢、吐き気、発熱、粘血便、激しい腹痛を伴うこともあります。
腸管出血性大腸炎(O-157など)の潜伏期間は3~8日、下痢、腹痛、発熱、おう吐、血便、溶血性尿毒素症症候群や脳症を発症する場合もあります。
カンピロバクターの潜伏期間は1~7日、下痢、腹痛、吐き気、発熱など。
ウエルシュ菌やセレウス菌など〝芽胞菌〞は60℃以下で急激に増殖、よって前日の調理などは要注意、1~4時間の過熱をしても死滅しません。セレウス菌も芽胞菌ですが126℃で90分でも死滅しません。
ウエルシュ菌の潜伏期間は平均10時間、セレウス菌の潜伏期間は30分~6時間、腹痛、発熱、下痢などの症状が代表的です。
毒素型の食中毒
黄色ブドウ球菌は増殖時に産生する毒素(エンテロトキシン)で食中毒を起こします。指や手に化膿がある人はそこで増殖しやすいので要注意。毒素は熱に強く、100℃で30分間加熱しても無毒化はできません。潜伏期間は平均3時間、激しい吐き気やおう吐、腹痛や下痢がみられることもあります。
ボツリヌス菌は土壌、河川、海底、湖底など自然界に広く分布し農作物、食肉、魚介類など多くの原料が汚染される可能性があります。瓶・缶詰・レトルト食品などは120℃で4分といった超高温処理がされますが、レトルト食品に似た食品であっても煮詰めて作っただけの食材などは5℃以下の要冷蔵で保管すること求められます。冷蔵が必要な食品は必ず冷蔵保管をすること。ボツリヌス菌の潜伏期間は8~36時間、初期は胃腸炎症状、次いで、様々な神経麻痺症状が現れます。重症化すると呼吸困難に陥り死に至る場合もあります。
●魚介類は10℃以下、刺身等は4℃以下で保管。食肉等は10℃以下、調理の際は中心部75℃以上まで加熱。
●生食する場合は生食用の表示のものを選び、調理後はなるべく早く喫食すること。
●交差汚染を防ぐためにも、手洗い(指先・指の間・手首)はその都度しっかりと行う(20~30秒が目安)。
●調理器・容器・器具の洗浄・殺菌は、調理の前後、十分に行う。
●牛レバーは鮮度が良くても内側に菌が侵入していることが多い(固めた肉も同様)、厳重な注意が必要。
●調理や飲用水などには、未殺菌水は使わない。
●前日調理した料理(シチュー・煮物・スープなど)の室内保存を避け、冷蔵で保存する。
食中毒予防の3原則
つけない
食品を取り扱う設備や器具・容器を清潔に保ち、手洗いをしっかり行う。
原材料からの二次感染に注意、水道水でしっかり洗う(次亜塩素酸・中性洗剤はもちろん、ナノデンタルαも有効)。冷蔵庫内をきれいに衛生的に保つ。
増やさない
適切な温度で保管する(20~50℃で食中毒菌は増えやすい)。食材ごとに容器や器具を使い分ける。台所を洗浄し、日ごろから整理整頓を心がける。
やっつける
加熱調理食品(例えばハンバーグなど)は中心部が75℃で1分間以上加熱する。二枚貝を調理する場合は、85~90℃で90秒以上加熱する。ボツリヌス菌・ウエルシュ菌・セレウス菌など芽胞を形成する菌は熱に強いので注意、すぐに喫食しない場合は、刺身は4℃以下、サラダなどは10℃以下、調理したものは60℃以上で保管することがポイント。
感受性について
感受性には個人差があります。
食中毒についていえば、感受性が高い方が過敏に反応しやすく、食中毒に陥りやすいと言えます。
自然免疫力とも関連しており、免疫力が低下していると発症しやすく、重症化する確率も高くなります。
自然免疫力が保持されているかどうか、それは食中毒や感染症に大きな影響を与えます。